今の日本に必要な構造改革とは、ビル建設に例え
れば、基礎部分の取替え工事に相当する。しかし現
状の小泉構造改革とは、ビルの外壁部分のタイル張
替え工事を構造改革と称しているようなもので、こ
れでは景気の底が一向に見えてこない。
最近議論されている高速道路問題についても、日
本のメディアを含め全く本質をついた議論がなされ
ていないことに失望せざるを得ない。
まず欧米では、高速道路という言葉は、使われて
いない。ドイツなどはAUTOBAHNで単に自動車道路と
いう意味だ。そして速度制限１００キロの２車線で
は国際水準として果たして高速といえるかどうか疑
問だ、むしろ中速道路だろう。
この自動車道路（日本では高速道路）は国の機軸
となる交通網であり、現代では鉄道以上に重要な交
通体系だ。戦争とは別の意味では兵站の戦いでもあ
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るわけで、欧州では有事の際にこの自動車道路が決
定的な意味を持ち、まさに国家の安全保障に係わる
問題である。
もし日本海側で有事という場合に、太平洋側と日
本海側を結ぶこの自動車道路（ドイツ並みとはいか
ないまでも）が何本あるのかそしてその輸送力を考
えてみると、おそらくこんな無責任な国家はないと
いう結論に達するのではないか。
この最も重要な社会資本を日本ではすべて通行料
で建設しようというところに決定的な問題がある。
つまり欧米でも採算という観点でみれば、幹線道路
は良く、支線は悪いに決まっている訳だ、よって必
然的に不採算道路が多くなるので国家の役割として
税金で建設しているわけだ。これが世界の常識だろ
う。（フランスは通行料と税金で）
（９頁へつづく）
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