生活者の視点から現在の政府の政策を見ると、経
済再生政策のみならず、全ての政策が生産者中心に
推進されているように思える。この端的な例は、狂
牛病に対する武部農林大臣の以下発言の中にも窺え
られる。
1)肉骨粉が原因であるという科学的な証明がない。
2)鳥やブタに与えても問題ないし、行政指導で肉
骨粉を牛に与えることを禁止している。(英国
では、餌の混入で狂牛病が発生した)
3)農家や肉骨粉の業者が打撃を被るので、使用禁
止はできない。
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この発言に欠落しているのは、「消費者の健康と
生命を守ることを最優先させる」という意志である。
この発言は、消費者の不安心理をあおり、消費者の
牛肉離れを加速させてしまった。その結果、牛肉消
費の大幅減少をきたし、政府が守ろうとした生産者
さえ守れない状況になってしまった。
これまで政府は、生産者保護に焦点を当てた経済
再生政策を進めてきたが、90年代の不況は、このよ
うな政策が最早有効でないことを証明している。今
や、一見遠回りのように見える生活者の視点に立っ
た行政が、長引く不況から脱却する唯一の道ではな
いか。
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